「和食」の器にふさわしくないとして、京都市の給食で使われなくなったアルマイト食器が思わぬ人気を集めている。市学校歴史博物館(同市下京区)が2月からお土産品として販売を始めたところ、既に約170セットが売れた。買い求める人は30~70代が多いといい、関係者は「『懐かしさ』が受けているのではないか」と話している。
アルマイトは、耐久性を増すため酸化アルミニウムの膜で覆ったアルミニウム。大正時代に日本で発明され、弁当箱などとして広く使われてきた。
市や同館などによると、学校給食が制度化された1950年前後から市内の小学校でも全国と同様にアルマイトの食器が広まった。ただ、2013年に「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたのを機に、学校給食を通じて和食文化を継承する動きが加速。「料理を味わうにふさわしい食器」が議論されるなかで、市教委は17年度末までに全市立小学校で樹脂製食器へ切り替える方針だ。
これに伴い不要となるアルマイト食器は計約27万個。市教委は一部を同館のミュージアムグッズとして販売することを決め、異なる食器4種類を専用巾着袋とセットにして、2月10日から300円で売り出した。
特に宣伝などはしていないが、現在では食器目当てに来館する人もいるという。購入した京都市上京区の藤木利佳さん(41)は「給食で好きだった鯨の竜田揚げやきなこの付いた揚げパンを思い出した。キャンプやバーベキューの時に家族で使いたい」と話す。
同館の村山典広さんは「今の子供たちも使ってみてほしい」と呼びかける。問い合わせは同館(075・344・1305)。【宮川佐知子】