<アーバンリサーチ>「漁師ウエア」販売好調 フィッシャーマン・ジャパンと連携し開発

衣料品セレクトショップを展開する(UR、大阪府)が、宮城県内の若手漁師らでつくる一般社団法人「フィッシャーマン・ジャパン」(FJ、石巻市)と連携して水産業従事者向け「漁師ウエア」の商品開発に取り組んでいる。デザイン性はもちろん、厳しい仕事環境を踏まえた高い機能性が受け、一般消費者の人気も集めている。

<女性サイズも>
 仙台市青葉区のURエスパル仙台店。最新の流行を取り入れた洋服に交じり、青やオレンジ、グリーンといったカラフルな漁師ウエアが並ぶ。いずれもURがFJのメンバーに聞き取ったり、漁師仕事でのテストで性能を確認したりして完成に結び付けた。
 最も売れているのは、2015年に第1弾として発売したナイロン製のパーカ「シーパーカ」(2万5920円)だ。撥水(はっすい)性があって軽いため、レインコート代わりに購入する客が多いという。
 当初は男性用だけのサイズ展開だったが、女性にも好評で2年後に女性向けのサイズと色を追加。袖やポケットのデザインも改良し、これまでに累計500着以上を売り上げた。
 ファッション市場では、登山用のフード付きジャンパーなど機能性と耐久性を兼ね備えた上着が人気。街中でも着られるようになり、春秋の端境期に売れている。
 URの川瀬晃子シニアチーフは「機能性が高く同種の既存商品よりも値段が高い。ここまで売れるとは驚いたが、品質の良さが受け入れられた」と分析する。

<水族館が採用>
 URは16年、より本格的なウエアに参入。完全防水や耐寒、耐油、耐摩耗といった機能を持つジャンパー「マリンブルゾン」(9720円)と胸当て付きのズボン「サロペットパンツ」(8640円)を発売した。
 デザインは青やオレンジと白などを組み合わせたツートンカラーを採用。漁業者に加え、ガーデニングや洗車に使う一般客にも売れた。18年にはサンシャイン水族館(東京)のペンギン飼育員のユニホームにも採用され、広がりを見せる。
 URの伊東裕美ブランドディレクターは「『かわいい』などの見た目だけで売れる時代ではない。漁師との連携が他社にない付加価値になる」と説明する。
 FJは東日本大震災後の14年、「かっこよくて、稼げて、革新的な」の新3Kを掲げ発足。24年までに多様な能力を持つ水産業従事者を三陸に1000人増やすことを目標に掲げる。
 長谷川琢也事務局長は「漁師をかっこよく見せながら、街の人も同じ服を着ることで水産業に思いをはせてほしい」と期待する。

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