日本政策投資銀行東北支店がアジアや欧米などの国と地域を対象に実施した東北インバウンド(訪日外国人旅行者)意向調査によると、アジアから東北を訪れた人の再訪希望率は56.8%にとどまり、全国の地域別で最も低かった。交通アクセスや自国キャッシュカードの利用への不満が他地域より高く、同支店は「満足度を高める早急な対応が必要だ」と指摘する。
中国や台湾、タイなどアジアの8国・地域からの旅行者の再訪希望率は北海道が最も高く77.8%。関西70.9%、東海70.6%と続いた。東北は北陸の59.9%、中国地方の58.9%も下回り、最下位だった。
英、米、仏、豪4カ国からの旅行者の東北再訪希望率は69.6%。アジアの旅行者に比べて高く、地域別では関西や東海、九州に次いで4位となった。
東北を訪れて不満に感じたこと(複数回答)は「史跡や歴史的建造物の見物(説明の充実度を含む)」9.5%、「バス・タクシーの利便性」7.0%、「自国キャッシュカードの利用しやすさ」6.3%。これらの項目は他地域では5%前後にとどまり、東北への不満の大きさが浮き彫りになった。
一方、東北でも公衆無線LAN「WiFi(ワイファイ)」の整備が進んだ影響から、「携帯電話・通信機器の利用しやすさ」への不満は6.7%と、前年の9.0%より改善した。
東北支店は「インバウンドを増やすには受け入れ環境の改善が欠かせない。訪日者の再訪意欲が高い北海道との連携も重要だ」(企画調査課)と話した。
調査は6~7月、計12の国・地域の海外旅行経験者計6274人を対象に実施した。このうち訪日者は2792人。東北にはアジアから285人、英米仏豪からは69人が訪れた。