<エコーライン>宮城、団体客の動き鈍く

宮城、山形両県境の蔵王山(蔵王連峰)に発令された火口周辺警報の解除を受け、蔵王エコーラインが6月22日に全線開通して1カ月となる。両県や周辺自治 体のてこ入れもあり、観光客の入り込みは持ち直しつつあるが、団体客の動きはまだまだ鈍い。秋の紅葉シーズンをにらみ、関係者は巻き返しに策を練る。

20日までの3連休。宮城県蔵王町の遠刈田温泉中心部は家族連れや若者でにぎわった。「開通後、日増しに乗用車やバイク、自転車が増えた。エコーラインを 上っていく姿を見るのはやっぱりいい」と温泉街で飲食店を営む遠藤裕一さん(67)。ただ「大型バスが足りない」と例年との違いも指摘する。
県 によると6月22日~今月16日、火口湖「お釜」につながる蔵王ハイラインの通行車両は1万3243台。7月末まで続く無料化効果で前年同期を45%上 回った。一方で30人以上の大型バスに限ると、86%減の95台と低迷。その影響でお釜周辺を訪れた観光客は概算で前年同期の75%に当たる4万116人 にとどまる。
6月のバスツアーはエコーラインを通り、山形県内でサクランボ狩りを楽しむコースが定番だが、警報発令でキャンセルが相次いだ。遠刈田温泉では宿泊が例年の5割というホテルもあり、紅葉シーズンに向けた対策が急務だ。
蔵王町観光物産協会は割安な宿泊、日帰りのツアー商品を独自に検討中。門脇次男会長は「火山活動で上がった知名度も活用し、豊富な観光資源を連携させて蔵王広域圏の魅力を発信したい」と力を込める。
宮城県川崎町の青根温泉の利用者は5月時点でも前年同月比で約1割の減少にとどまった。青根温泉旅館組合の原太一郎組合長は「夏休みの予約も前年並みに戻りつつある。訪れた方々がリピーターとなるよう努力を続けたい」と表情を引き締めた。

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