<カシオ>中東で人気 聖地メッカの方角指し示す腕時計

 ◇「祈りの時間」通知機能も
 カシオ計算機が販売しているイスラム教の聖地メッカの方角を指し示す時計が、中東地域で人気を集めている。ボタンを押せば秒針がメッカを示すという仕組みだが、日本の技術なくしてはできなかった製品だ。
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 イスラム教徒にとって、1日5回のメッカへ向けたお祈りは欠かせない。中東地域では正しい方角を指し示すポスターがあちこちに掲示され、時間になると街頭のスピーカーが知らせてくれる。だが世界を駆け回るビジネスマンや旅行者は、自分で時間と方角を調べないといけない。
 カシオは1993年、方位計機能付きのアウトドア用腕時計を世界で初めて発売。応用先を模索する中で出てきたアイデアが、この時計だった。
 メッカの方向を指し示す機能をつけたデジタル時計を97年に発売すると好評を博し、2012年には現在のアナログ時計にリニューアルした。価格は日本円で5000~7000円。お祈りの時間を知らせたり、イスラム暦で日付表示したりする機能もある。同様の機能を持つ時計は、今もカシオ以外からは販売されていない。
 苦労したのはお祈りする時間の算出だ。毎日同じ時間ではなく、太陽の位置によって決まる。「影が自分の身長の2倍になってから日没までの時間」というように、場所や季節で変わってくる。モジュール開発部の三宅毅さんは国内のイスラム寺院を訪れたり、サウジアラビアの販売代理店に問い合わせたりして調べた。「お祈りの時間が間違っていたら大問題。検証には時間をかけた」と話す。計算方法は複数あるため、10通りに対応。世界70都市をプリセットした。
 バンドも高級感のあるメタルなど6パターンを用意した。腕時計は年数万個売れれば「ヒット」とされるが、新モデルは30カ国で40万個も売れた「大ヒット」となっている。【高橋直純】
 ◇65%は海外での売り上げ
 「G-SHOCK」など高機能なデジタル時計で人気を集めているカシオ計算機は、東南アジアなど海外での売り上げが65%を占めている。2012年には、若者向けにDJやスケートボーダーらが登場する「G-SHOCK」関連イベントをアラブ首長国連邦で開催。13年には同国に販売会社「カシオミドルイースト」を開設するなど、中東地域での販促活動にも力を入れている。

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