<ササニシキ>宮城県内の作付け割合3位に 山形県生まれのつや姫に逆転許す

2017年産米の県内作付け割合で、米どころ宮城を代表する銘柄「ササニシキ」が山形県生まれの「つや姫」に逆転され、3位に転落した。栽培に手間がかかるため、生産現場のササニシキ離れが進んだ形。県は県産米ブランド化戦略でササニシキを柱の一つに据え、復権を期す。

ササニシキとつや姫の作付け割合の推移はグラフの通り。県によると、一般向け種もみ配布量(5月10日現在、暫定値)はササニシキが150.04トン、つや姫が150.88トン。配布量から推定する割合はササニシキが6.36%、つや姫が6.39%となった。
主力品種の「ひとめぼれ」は75.1%で、他の品種を大きく引き離してトップ。ササニシキは、ひとめぼれが首位に立った1994年以降、初めて2位の座を譲り渡したことになる。
ササニシキは63年に県古川農業試験場(大崎市)が開発した。コシヒカリと並ぶ「東の横綱」と称され、ピーク時には県内作付面積の約9割を占めた時期もあった。93年の大冷害で大きな被害を受け、作付面積は減少に転じた。
一方のつや姫は山形県で開発され、県内では10年に作付けが始まった。市場の引き合いに加え、栽培がしやすく、出穂が遅い晩生(おくて)の特徴がある。収穫期が異なる中生(なかて)品種のひとめぼれと作業が分散できることなどから着実に広がってきた。
古川農試の永野邦明場長は「ササニシキは気候に敏感に反応し、栽培管理に手間がかかる。気候変動や生産現場の労働力不足など、自然条件、社会条件ともササニシキには厳しい環境になっている」と話す。
作付け割合は低迷するが、さっぱりした食感のササニシキには潜在的な市場ニーズがある。石巻、登米、古川、白石などで復活への動きがあり、ササニシキ系の「東北194号」の作付けも広がりつつある。
県産米ブランド化戦略では、ササニシキをひとめぼれ、新品種「だて正夢」などとともに柱に位置付けた。県農産園芸環境課は「和食との相性の良さなどをアピールし、需要掘り起こしや生産体制の確立につなげたい」と強調する。

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