資生堂は11日、シニア女性向けの新化粧品ブランド「プリオール」をつくり、来年1月に全33品を一斉発売すると発表した。2019年には50歳以上の女性が全女性の5割を超える見通しで、「シニア世代がマジョリティー(多数派)となる新たな市場を作りたい」(魚谷雅彦社長)との狙いだ。花王も50代以上のブランド戦略を強化するなど、化粧品業界ではシニア対応の動きが広がっている。
「団塊の世代がシニアになり、シニアの意味が変わってきている。強い価値観と行動力をもつシニアが大きな市場を作ろうとしている」。東京・銀座で開かれた発表会で、魚谷社長はこう強調した。
資生堂は約2年半前から6600人強のシニア女性と面談してニーズを把握。肌や髪のつやを引き出す新技術を配合した化粧水や口紅などを開発した。商品のパッケージにはカラー写真や大きな字で使い方を示すなど表示も工夫。CMにはベテラン女優の宮本信子さん(69)と原田美枝子さん(55)を起用する。
シニア重視の狙いは、人口の多さに加え、高い購買力にある。50歳以上の化粧品市場は13年度で約1兆6500億円に上り、4月の消費増税後の消費回復のけん引役は60代とされる。国内市場が縮小する中、シニア市場は高い収益が見込める魅力的な市場だ。
資生堂がライバル視するのが花王だ。花王はここ数年、50代以上のメーキャップで「ソフィーナ プリマヴィスタ ディア」、ヘアケアで「セグレタ」など、専用ブランドを設けて商品ラインを強化。今月には「ディア」の初の改良品として、肌を明るく見せる新ファンデーションを発売した。コンパクトには顔の細部まで見える拡大鏡を装着するなど配慮に余念がない。
花王傘下のカネボウ化粧品も昨秋、50歳以上向けブランド「コフレドール グラン」をつくり、今月中旬にはシニア世代の使用が増えているとして、ほお紅を新発売する。ファンケルも12月、同社初の50歳以上向けベースメーク商品「エクセレントリッチ」を発売する。【宇田川恵】