<セブン&アイ>ベア実施 主要54社、5万3500人対象

セブン&アイ・ホールディングス(HD)は4日、傘下の大手スーパー、イトーヨーカ堂などで来年度から賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)を実施すると発表した。対象はグループの主要54社で、一部の管理職を含む5万3500人。自動車や大手電機メーカーの労働組合を傘下に持つ連合が今春闘で4年連続でベア要求を見送っているが、同社は「特に子育て世代を支援して需要を喚起し消費者心理を改善する」(広報)と説明している。
 セブン&アイがイトーヨーカ堂や西武・そごうなど主要労組との交渉で4日、ベアなどの要求に満額回答した。イトーヨーカ堂の場合、組合員平均で前年度比1.5%増の月額5229円となる。このうち定期昇給分が4322円で、ベアは907円。35歳で子供が2人いる家庭なら諸手当を含め年間2%増の12万円アップになる。労組がないコンビニエンスストア最大手「セブン-イレブン・ジャパン」なども含め、各社の給与体系に合わせて同様の賃上げを実施する。
 安倍政権は経済政策「アベノミクス」の一環で、好業績企業の報酬アップを財界などに要請。これに呼応して、コンビニのローソンや眼鏡店「ジンズ」を展開するジェイアイエヌが報酬アップを発表した。しかし、ほとんどは一時金(ボーナス)の増額による賃上げで、固定費の増加につながるベアまで踏み込んだ賃上げ実施は異例だ。【岡田悟】

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