<タクシー>脱セダン進む ミニバン切り替え

「タクシー車両はセダン」というイメージが東北で変わりつつある。国内タクシー市場で「1強」のトヨタ自動車は2017年度、セダン型専用車の生産をやめ、ミニバン型に切り替える。タクシー事業者も高齢者や障害者への配慮などから、セダン以外の後継車両の導入に力を入れる。
トヨタの新型タクシーは従来の専用車のイメージを一新。天井が高く、スライド式ドアで乗り口が広い。車椅子で乗り降りできるスロープを設け、全ての人が使いやすいユニバーサルデザイン(UD)にした。
トヨタによると、15年に国内で販売されたタクシー専用車約1万5000台のうち、同社製は約8割を占める。同社は3月末、東北6県の事業者向けに新型の試乗会を開き、一気に浸透を図る構えだ。
事業者も切り替えに本腰を入れる。仙都タクシー(仙台市)は1月、ミニバン「シエンタ」のハイブリッド車への交換を始めたほか、今冬に新型2台を導入する予定。
同社幹部は「従来車は経済性に優れていたこともあり、どんな車に入れ替えるか慎重に考える。シエンタは新型と形状が似ており、試験的に導入した。お年寄りや大柄な人から評判がいい」と話す。
UDタクシーは日産自動車が10年に発売したが、導入が進まなかった。同社のUDタクシー3台を保有するフタバタクシー(仙台市)の幹部は「街中を流しても(形状的に)タクシーと思われないのか、手を上げてもらえない。ただ、予約がメインの固定客からのニーズは高い」と説明する。
国土交通省によると、14年3月時点で全国のUDタクシーの導入台数は606台。このうち東北6県は50台にとどまる。同省は20年の東京五輪・パラリンピックに向け、UDタクシー購入費用の補助制度を設け、導入を後押しする。
宮城県内でタクシー車両を販売する仙台トヨペット(仙台市)は「新型は荷物の多い外国人旅行者も使いやすく、ニーズを見据えた車だ。セダン型を全て置き換えたい」と意気込む。

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