<ダテバイク5年>採算苦戦 目標は終日フル回転 利用ブレーキの昼が鍵

仙台市が市中心部で実施する有料貸自転車事業「DATE BIKE(ダテバイク)」は事業開始から丸5年を迎えた。街を行き交う電動アシスト付きの赤い自転車はおなじみとなったものの、採算面では苦戦が続く。運営するドコモ・バイクシェア(東京)は企業の営業活動など昼間のニーズを開拓し、収益率を高める方針。
ダテバイクの各年度の利用回数はグラフの通り、増加傾向にある。登録会員は2017年度が現時点で約3万人。16年度より約1万人増えた。ダテバイクを借りたり返したりする専用駐輪場「ポート」が開始当初の12カ所から53カ所になり、利便性が高まったことが背景にある。
ただ、事業収支は一度も黒字化していない。朝夕の通勤通学に利用が集中し、昼間に使われないためだ。同社の田保祐一郎第2事業運営部長は「自転車がポートに止まったままでは利益が出ない。回転率を上げる必要がある」と強調する。
同社が成功事例とする横浜市の貸自転車事業は、朝夕の通勤通学に加え、昼間は外回りの営業や、みなとみらい地区などを訪れる観光客が利用する。自転車が朝昼晩に動く「三毛作」(田保氏)を達成している。
東日本リサーチセンター(仙台市)の17年7月の調査では、ダテバイクの利用意向を尋ねる質問に「利用したいと思わない」と答えた市民モニターが3割強と最多だった。「二毛作」にとどまる仙台は、需要の掘り起こしが不十分と言える。
同社は市中心部のポートの設置密度を上げて利便性をさらに高め、法人契約の獲得などにつなげる考え。各ポートの自転車の台数が極端に偏ると再配置に人件費や輸送費がかかるため、人工知能(AI)で台数の動向を予想する仕組みの開発を検討しているという。
市自転車交通安全課の千葉正明課長は「ダテバイクは着実に市民に受け入れられている。今後も市中心部の交通手段としての認知度を高める」と話している。
国土交通省のまとめによると、ダテバイクなどのコミュニティーサイクルは公共交通の補完や観光振興を目的に、全国87都市(16年10月現在)で本格導入されている。東北では仙台市のほか、気仙沼、白石、山形、弘前、八戸、会津若松各市などで展開されている。

[ダテバイク]仙台市とドコモ・バイクシェアが2013年3月16日に始めた。市は12、16年度、自転車購入費など初期費用の計3700万円を負担。同社はそれ以外の運営経費を全て受け持つ。利用者はインターネットで希望のポートの自転車を予約し、好きなポートに返却する。(1)月額会員(2)使用のたびに払う「1回会員」-の2種類あり、料金は「1回会員」の場合、最初の1時間は103円。会員登録が必要ない「1日パス」もある。

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