2016年、広島に「ネコノミクス」の風が吹く−−。写真集やゲーム、グッズの販売など、猫が生み出す経済効果「ネコノミクス」。旅行会社やメー カーなどは空前の猫人気を商機と捉え、「猫のまち」として知られる広島県尾道市を舞台に、さまざまな商品を販売している。県も観光PRに猫を採用するな ど、期せずして「ネコノミクス」に便乗した形だ。【菅沼舞】

大手旅行会社「JTB中国四国」(広島市中区)は、県から委託を受け、尾道観 光協会と協力して昨年秋から「尾道 猫の待っている路地めぐり・ぐるめぐりツアー」を開催。猫が出没するスポットなどを巡る内容で、毎回定員を超える申し 込みがある人気ぶり。反響を受け、2月21日には、猫好きが交流するイベント「尾道 猫好きのまつり」を開催する。猫のフェースペインティングや、写真家 による猫の撮影方法の講習、尾道市立大学ねこ同好会の研究発表などが楽しめる。同社は「手応えはある」として4月以降も、猫に絡めた商品を販売する計画 だ。

尾道市内には、猫にちなむ商品を扱う店も増えている。菓子製造「浜だんな製菓」栗原店は、猫がモチーフの菓子を詰め合わせた店限定の「浜にゃんこ」(税込み648円)を昨年9月から販売し、売れ行きは上々。「尾道といえば猫。新店舗オープンに合わせた」と説明する。

1878年創業の「今川玉香園茶舗」では、オリジナルブレンドの尾道紅茶のパッケージに猫をデザイン。同店はJTBツアーのルートにも組み込まれており、 「10年前からデザインは変わらないが、猫好きのお客さんが急増し驚いている。パッケージをきっかけに紅茶の味を知ってもらえれば」と話している。

ネコノミクスは行政にも広がりをみせる。県の観光プロモーション事業「カンパイ!広島県」では、猫の目線で尾道の路地裏を散策できる「広島キャットスト リートビュー」を開設。県観光課は「『ネコノミクス』を狙ったわけではないが、タイミングが良い具合に合った。反響も大きく、新年度も何らかの形で猫の手 を借りたい」としている。