<ネコノミクス>空前の猫ブーム 商戦熱く

猫カフェに猫本、スマートフォンの猫アプリ-。近年は空前の猫ブームと言われる。仙台市内には専門のペットショップが誕生し、メーカーも独自の関連商品開 発に力を入れる。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の腰折れが懸念される中、「ネコノミクス」と言われる経済効果は勢いを増すばかり。熱を帯びる商戦を 追った。(報道部・安住健郎)

<来客数は20%増>
仙台市青葉区一番町のペットショップ243(ふしみ)仙台中央店は2013年夏、猫専門店に模様替えした。約15畳ほどの店内は土日を中心に客でにぎわう。
「来客数の伸びは毎年20%を超えている」。佐々木広成店長はホクホク顔だ。1匹20万円台からと高額だが、購買層の中心は1人暮らしの女性という。

<グッズ開発に力>
餌も高級化が進む。「飼い主の健康志向が著しい」と佐々木店長。以前は人気だった缶入りのものは塩分が多く敬遠されがち。1キロ2000円前後の高品質な「プレミアムフード」が売れ筋だという。
1987年にペット用品に参入したアイリスオーヤマも猫グッズの開発に力を入れる。参入当初は犬小屋など犬用品が中心だったが、99年にトイレ用の猫砂が大ヒット。次第に猫グッズの割合を増やしてきた。
昨年からは部屋の色調に合わせたグッズの売り込みを図る。「猫は室内で飼われることがほとんど。部屋のインテリアに合った用品を開発している」(広報室)。白とブラウンの落ち着いた2色を用意し、トイレや爪研ぎなどを展開する。

<人気はまだ続く>
ペットフード協会の調査では、15年の猫の飼育数は987万4000匹で横ばい状態が続く。犬は991万7000匹でやや上回るものの12年以降は減少傾向にあり、近いうちに逆転もありそうだ。
散歩の手間が掛からず、手軽に飼えるのが猫の利点。「加えてペットと飼い主の緩いつながりが可能なのが人気の理由ではないか」と横浜商科大の岩倉由貴准教授が解説する。東北大大学院経済学研究科でペットの流通をテーマに博士号を取得した専門家だ。
特定の飼い主を持たず地域住民に世話される「地域猫」の存在を挙げ、「みんなが自分の猫と思えるような緩い関係がSNS(会員制交流サイト)全盛の時代に合っている」と分析する。
庭先に猫を呼んで眺めるスマートフォン向けゲーム「ねこあつめ」のダウンロード件数は1300万件を超え、テレビには猫を主人公としたCMがあふれる。岩倉准教授は「現代のライフスタイルに合っていることから考えても、人気はまだまだ続く」とみる。

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