<ノーベル平和賞>チュニジアの国民対話団体に…民主化貢献

【ロンドン矢野純一】ノルウェー・ノーベル賞委員会のフィーベ委員長は9日、2013年にチュニジアでイスラム政党と世俗派の対立解消に貢献したチュニジ ア労働総同盟(UGTT)など4団体からなる「チュニジア国民対話カルテット」にノーベル平和賞を授与すると発表した。11年に民衆デモによって独裁政権 が倒れ、中東の民主化要求運動「アラブの春」の先駆けとなったチュニジアで、政治対立を対話で解消し民主化の進展に貢献したことが評価された。

過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭など中東では混乱が続いており、「アラブの春」で高まった民主化の機運もしぼみつつある。委員会側にはチュニジアの取り組みを国際的に評価することで、中東全体の民主化を後押しする狙いがあるとみられる。

チュニジアでは11年に大規模な反政府デモが起こり、ベンアリ独裁政権が崩壊した。革命後は、新憲法の内容やイスラム過激派対策を巡って、イスラム政党 と世俗政党の対立が激化。民主化の停滞が危ぶまれたが、13年に労働組合などが政党間の和解を仲介し、挙国一致型の暫定政府樹立に成功。早期の憲法制定や 選挙実施にこぎ着けた。

ノーベル平和賞は、その年の2月1日までに各国の政府や国会議員、大学教授、過去の受賞者、国際機関の職員などによって推薦された候補者からノーベル賞委員会(5人)が選出する。

授賞式は、ノーベル賞の創設者であるアルフレッド・ノーベルの亡くなった日にちなみ12月10日、オスロ市庁舎で行われる。今年の賞金は800万スウェーデンクローナ(約1億1600万円)。

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