<ミャンマー>延滞債務解消へ日本政府と大手邦銀が協力

 来月中旬に東京で開かれるミャンマー支援会合で、日本政府が提案する支援策の概要が24日、分かった。世界銀行やアジア開発銀行(ADB)などがミャンマーに貸し付けたままになっている借金の返済を支援するため、日本政府と大手邦銀が協力する。延滞債務問題を解消することで、海外からミャンマーへの投資を促し、国際社会への復帰を後押ししたい考えだ。【清水憲司、永井大介】
 ミャンマー政府に対し、ADBは約5億ドル(約390億円)、世界銀行は約4億ドル(約310億円)と日本に次ぐ規模の延滞債権を保有している。支援策では、日本政府がミャンマー政府に大手邦銀を紹介、ミャンマー政府が邦銀からつなぎ融資を受けて世銀やADBへ借金を返済し、延滞債務を清算する。日本政府は世銀やADBに加え、ドイツなど他の債権者にも債権の一部放棄などの支援を呼びかけ、ミャンマーの延滞債務解消を目指す。最大の債権国である日本は4月、過去の円借款の未返済分など計約5000億円のうち、約3000億円を2段階で放棄し、残りは新たな円借款に置き換えて返済を先送りする金融支援で合意した。
 日本政府は、民主化で新たな投資先としての期待が高まるミャンマーへ民間投資をしやすくするとともに、延滞債務問題の解決を主導して同国との経済関係を強化したい考えだ。
 ミャンマーは88年に軍事政権となった後、巨額の延滞債務が発生、新たな投資の障害となってきた。先進国から発展途上国への開発資金融資の返済が遅れると、先進国や世銀は新たに融資できず、経済再建や開発に支障が出る。本格的な支援を行うには、まず延滞債務問題を解消する必要がある。ミャンマーも延滞債務を解消すれば、ミャンマー向け融資のリスクが低くなったとみなされ、海外から投資や融資を受けやすくなる効果が見込める。
 このため、日本政府は来月中旬に東京で開かれる国際通貨基金(IMF)・世銀総会に合わせて、ミャンマー支援会合の開催を決定。主要先進国のほか、中国など約30カ国に参加を呼びかけている。ミャンマーのウィンシェイン財務歳入相も民主化や経済改革、経済開発に向けた方針を表明する方針だ。

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