<ユニセフ調査>日本の「子供いる世帯」 所得格差が深刻

◇41カ国中ワースト8位 貧困世帯所得、中間層の4割

子供のいる世帯の所得格差は、日本が41カ国中8番目に大きいことが14日公表される国連児童基金(ユニセフ)の報告書で分かった。最も所得の低い層の 所得は中程度の所得層の4割で、一般的な子育て世帯の所得の半分にも満たない。この報告書に独自の推計を加えた研究者の分析では、1985年から2012 年で格差が11ポイント拡大している。

ユニセフが経済協力開発機構(OECD)や欧州連合(EU)に加盟する41カ国のデータを分析。子供(0~17歳)のいる世帯について、所得が下から 10%の層と中央値の差を比較した。所得のデータは主に13年。日本は下位10%の所得が中位の39.8%にとどまった。格差が最も小さいのはノルウェー (63.0%)だった。

貧困に関し、全体の中で貧困層がどの程度いるかを示す「相対的貧困率」がよく用いられているが、ユニセフの報告書は、標準的な世帯との差をみることで、貧困の深刻さを調べている。

報告書の日本版では、首都大学東京の阿部彩教授が85年以降の格差の変化を推計している。85年は下位10%の所得は約90万円で中位の約177万円の50.9%だったが、12年は約84万円、同約40%に下がった。

阿部氏によるとこうした数値の公表は国内では初めてで、「貧困の度合いが深刻な場合は、より手厚い支援が必要となる」と指摘している。

報告書では子供の学力格差の指標も示し、日本はOECD加盟など37カ国中27位だった。詳細な分析をした読解力では、学校教育3.3年分の差があるとされた。【堀井恵里子】

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