宮城県南三陸町は27日、志津川湾の藻場のラムサール条約登録に向け、国内候補地を選ぶ環境省に支援を申し入れた。2018年にアラブ首長国連邦(UAE)で開かれる条約締結国会議での登録を目指す。藻場の登録は国内で例がない。
佐藤仁町長が同省を訪れ、亀沢玲治自然環境局長に申し入れ書を手渡した。佐藤町長は「条約登録を足掛かりに『環境』を町のブランドにしたい」と述べた。亀沢局長は「登録に向け努力する」と語り、町を支援する考えを示した。
登録には藻場の保全を法律で定める必要がある。国は新年度、中央環境審議会に諮問して志津川湾を自然公園法に基づく海域公園地区に指定する方針。町はシンポジウムなどを開き、住民の理解を広げる。
志津川湾は暖流と寒流の影響を受けやすく、マコンブの南限、アラメの北限に近い。生物多様性に富み、町は海藻、海草計188種類を確認。絶滅危惧種で国の天然記念物コクガンの餌場として知られ、毎冬100羽以上が飛来している。
町は東日本大震災で被災し、町震災復興計画では「エコタウンへの挑戦」を掲げる。東北大、県漁協と共同で志津川湾を調査し、ウニが海藻を食べ尽くす「磯焼け」解消に取り組む。
ラムサール条約は水鳥の生息地として国際的に保全が必要な湿地を登録する。国内では50カ所が登録済み。東北は青森(仏沼)、宮城(伊豆沼・内沼、蕪栗沼・周辺水田、化女沼)、山形(大山上池・下池)、福島(尾瀬)の4県6カ所。