東日本大震災で被災した宮城県石巻市などを舞台に開幕したアートと音楽、食の総合祭「リボーンアート・フェスティバル(RAF)2017」を機に、牡鹿半島の同市桃浦地区で会員制宿泊研修施設「桃浦ビレッジ」の整備が進んでいる。宿泊施設を備え、漁業体験などを通して集落に根付く「生きる術」を学ぶ場となる。
桃浦ビレッジは約5000平方メートルの敷地に、いずれも木造で、各5人宿泊できる2部屋を備えた管理棟の「メインハウス」1棟、4人が宿泊できるタイニーハウス2棟を建てる。10張り分のテントサイトも整備。8月中旬以降にオープンする予定。
漁業体験や山の散策などのプログラムを用意。海と山を楽しむ一方、暮らしの知恵を学ぶことができる。16日には現地で駐車場と歩道をつくるプログラムがあり、参加者ら約20人が間伐材から作ったウッドチップを歩道などに敷き詰める作業に汗を流した。
参加者の一人、東松島市の教員松浦達夫さん(61)は震災時、ビレッジに近接する荻浜小(14年4月から休校)の校長を務めていた。松浦さんは「桃浦地区には思い入れがある。当時の教え子たちとこの場所で同窓会をやりたい」と完成を心待ちにしている。
桃浦地区では新たな漁業従事者の育成などを目的に、地元住民と筑波大の貝島桃代准教授らが2013年から「牡鹿漁師学校」を企画。里山の再生を含め、集落の暮らしを学ぶプログラムを展開してきた。
桃浦ビレッジはRAFを主催する一般社団法人APバンクが貝島准教授、同大の佐藤布武助教らと共に整備する。貝島准教授は「多くの人と一緒にビレッジを育てたい。桃浦に移住者を呼び込む契機になれば」と期待を寄せる。