全国のレンタルビデオ店が減少の一途をたどり、ピークだった1990年の4分の1近くになっている。大手の値下げ競争に中小店が耐えきれず廃業が相次ぐうえ、インターネットを通じた動画配信の拡大で市場規模も縮小しているためだ。高齢者をターゲットにするなど各店は生き残りの道を模索している。
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「ここ数年で2店舗を閉め(うちが経営しているのは)もうここだけ」。横浜市のレンタルビデオ店の男性経営者(41)は嘆息した。
昔は1泊2日1000円のレンタル料でも客足が絶えなかった。しかし店舗数急増に伴う競争激化で料金相場は崩れ、大手店舗では貸し出し開始から1年を過ぎた「旧作」は7泊8日100円が定着。新作を大量仕入れできない店は淘汰(とうた)された。
インターネット上の動画配信も追い打ちをかける。携帯電話大手3社が今年に入り、自宅のテレビでネット動画を楽しめるサービスをそろって始めた。新作はまだ少ないが、月額500円程度で映画など約7000点を見られるプランもある。
日本映像ソフト協会(東京都中央区)によると、レンタルビデオ店は90年末の1万3529店をピークに、2012年末は3648店に激減した。TSUTAYA(約1500店舗)とGEO(約1200店舗)の大手2社で7割を占める。業界全体の年間売上高も12年は約2584億円と、ピークの04年から1000億円以上減った。
業界誌「月刊ビデオ・インサイダー・ジャパン」前編集長の林健太郎さん(37)は「今後は60~70歳代の取り込みが鍵」と指摘している。【飯田憲】