三井物産は28日、アフリカ南東部・モザンビーク沖合で米石油ガス大手などと探鉱している鉱区で、世界最大級の30兆立方フィート超の埋蔵量の天然ガスを確認したことを明らかにした。三井物産は20%の権益を保有。液化天然ガス(LNG)化が検討されており、日本の年間使用量(約7000万トン)の1割弱に相当する量が日本向けとなる計画だ。プロジェクトの総事業費は1兆円規模になるとみられる。東京電力福島第1原発事故で見直しを迫られている日本の中長期のエネルギー需給にも寄与しそうだ。【久田宏】
◇権益20%、LNG化検討
昨年から年間約800億円を投じて探鉱を始めたところ、最大30兆立方フィート超の埋蔵量を確認。日本勢も参加しているロシアの石油・ガス田「サハリン2」の17兆立方フィートを上回り、世界最大となる豪州北西部の海底ガス田「ゴーゴン」の35兆~40兆立方フィートに匹敵する。アフリカ南東部に位置しており、需要が大きい日本やインドなどアジアへの船舶によるLNG輸送が期待できる。
モザンビーク政府やプロジェクト出資者で事業化を協議しており、13年末までに具体的な事業計画の結論を出す。LNG基地の候補地も選定しており、18年にも年産1000万トンでLNGの生産を始める予定で、この半分超が日本向けとなる。LNG基地は拡張が可能だという。
プロジェクトには米石油ガス大手のアナダルコやモザンビーク国営石油会社なども出資。権益トップはアナダルコの36.5%で、三井物産(20%)はこれに次ぐもの。
日本では福島第1原発事故の影響で、定期検査に入った他の原発も地元の反対などによって再稼働が遅れているため、代替エネルギーとしてLNGを燃やす火力発電の活用が広がっている。中長期的にも原発に依存したエネルギー政策の見直しは避けられず、ここ数年の技術革新で掘削が容易になった天然ガス「シェールガス」も含めて、産出可能量が増えている天然ガスへの期待が高まっている。