仙台市と富谷市など仙台都市圏北部の人口移動が2017年以降、これまでの北部への転出超過から一転、仙台市への転入超過になったことが2日、分かった。一時的な現象との見方もあるが、仙台市からの人口流出が鈍化し、「仙台回帰」が始まった可能性もある。名取市など南部への転出超過も縮小傾向にあり、都市圏の人口動態に変化の兆しが見られる。
仙台市と北部(富谷市、宮城県大和町、大郷町、大衡村)の転出入超過の推移はグラフの通り。
北部への転出超過は14年が572人、15年が560人と続いたが、16年に197人と大きく減った。17年は一転、仙台市への転入が転出を189人上回り、18年(1~9月)も103人の転入超過となっている。
14年と17年の仙台市の人口移動を対自治体別に見ると、富谷市は403人の転出超から38人の転入超、大和町は168人の転出超から125人の転入超に変わった。大郷町は10人の転入超が15人に拡大し、大衡村は11人の転出超から11人の転入超となった。
都市圏北部は1970年代以降、旧泉市がベッドタウンとして急成長した余勢を駆り、宅地開発が急速に進んだ。商業施設や企業の進出も相次ぎ、仙台市からの転出を呼び込んできた。
しかし、近年は北部の宅地開発に一服感があり、人口増加が鈍化。2015年12月に仙台市地下鉄東西線が開業し、若林区荒井などで住宅開発が進むなど、都市圏の住宅環境は変わりつつある。
仙台市と南部(名取市、岩沼市、亘理町、山元町)は東日本大震災直後の11、12年を除き、仙台市からの転出超が続く。ただ、超過幅は14年の640人から17年は237人に縮小した。
東部(塩釜市、多賀城市、松島町、七ケ浜町、利府町)は、震災直後に顕著な転入超となった以外は転出超と転入超が交錯する。
仙台市まちづくり政策局の梅内淳次長は「住宅供給の動向次第で短期的には市外への人口流出が再び強まる可能性はあるが、若者や高齢者を中心に都市型居住の志向があり、『仙台回帰』のトレンドは続くのではないか」とみている。