<仕事始め>震災5年 東北経済、着実な一歩を

東北の企業や経済団体のトップは仕事始めの4日、東日本大震災発生から丸5年となることしの東北経済について「緩やかな回復が続く」との見方でおおむね一 致し、復興の加速化を願った。北海道新幹線の3月開業などで交通網の整備がさらに進むことから、交流人口拡大への期待も高い。一方、世界経済の今後への警 戒感から「先は読み切れない」との声もあった。
七十七銀行の氏家照彦頭取は「着実に景気は歩みを進めると思う。国内経済が大きく亀裂を生じるとは考えにくい」とみる。販路喪失や人手不足といった課題を抱える被災企業は多いが「ブランド開発や市場開拓で工夫を重ねている企業もあり頼もしい」と語った。
昨年12月の仙台市地下鉄東西線の開業で人の流れが変わりつつある仙台商圏。ことしはJR仙台駅周辺に大型店の出店が相次ぐ。藤崎の藤〓三郎助社長は「外 国人観光客が震災前の水準に戻るなど、東北、仙台の経済に明るさが出てきた。(ことしの売上高は)前年割れにならないだろう。この流れを継続させたい」と 意気込んだ。
3月26日には北海道新幹線が開業予定で、観光面などの経済効果に期待が高まる。外国人旅行客誘致に力を入れる東北経済連合会の高橋宏明会長は「北海道の外国人旅行客数は東北の10倍。豪華クルーズ船の誘致などでも北海道と連携を進めたい」と話した。
仙台空港は7月に完全民営化される。近畿日本ツーリスト東北(仙台市)の野崎佳政社長は「東北から海外に行く人が増えなければ、東北の国際便は増えない。民営化は大きなチャンス。パスポートの取得推進など関係機関と連携し、旅行人口の拡大につなげたい」と力を込めた。
仙台経済同友会代表幹事の大山健太郎アイリスオーヤマ社長は「ことしの経済は読み切れない」と当惑気味。過激派組織「イスラム国」(IS)によるテロや米大統領選の行方など国際情勢の不透明感を理由に挙げ、「変化の大きな年になりそうだ」と語った。

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