1968年夏の分譲開始から50年を迎える仙台市宮城野区の鶴ケ谷団地で、住民らが高齢化や人口減少などの解決を図る「地域再生委員会」を発足させた。住民1万人を超える大型団地の再生に向け、メンバーがアイデアを出し合う。住民が主体的に地域の課題に向き合う取り組みは、東北各地の「成熟団地」のモデルケースになりそうだ。
「NEXT50・鶴ケ谷団地地域再生委員会」は1月下旬、地域活性化に取り組む住民団体「つるがや元気会」を母体に発足した。
テーマに「次の50年も安心して住み続けられる『つながり』を持つ鶴ケ谷」を掲げる。多彩な知恵を結集しようと、メンバーの28人は町内会、商業、医療、金融、市議会など幅広いジャンルから集めた。
緑空間の再生や中心地区の再構築、住民が参加しやすい文化活動などの地域再生事業を想定し、5月をめどに事業案を作る。市の補助事業を活用するなどして将来的に実現を目指す。
市郊外の鶴ケ谷団地は東北でも最も古い大規模団地の一つ。高度経済成長期の68年に整備され、住民は70年代のピーク時に2万1000人を数えた。
その後、少子高齢化や人口流出に伴い今年1月には1万1854人に半減。65歳以上の高齢化率は38.3%に上り、団地の活力をどう維持するかが喫緊の課題となっている。
1月の初会合では、住民らを対象としたヒアリングを基にまとめた課題が報告された。高齢化のほか、住宅の老朽化が進み空き家も増加。町内会活動が困難になっているという。ファミリー層減少を背景とした購買需要の落ち込みや、郊外大型店との競合による団地内の商業施設の魅力低下なども挙がった。
委員長に就任した「つるがや元気会」会長の菅原敏之さん(72)は「市内の古い各団地も同様の悩みを抱えている。他地域の参考となるよう事業案を練り上げたい」と話す。
市は本年度、郊外の住宅地を活性化させる「まちづくりプロジェクト」を開始した。国土交通省も17年1月に「住宅団地再生」連絡会議を設けるなど、都市部の古い団地の課題解決に向けた取り組みが本格化している。