仙台市の2015年度当初予算案は、震災復興の総仕上げと並行し、復興後を強く意識した内容となった。迫り来る人口減少社会に先手を打ち、東北の中枢と して首都圏への人口流出を防ぐダム機能の強化を実現できるか。苦しい財政運営の中で、なけなしの予算を投じる各種事業は、いずれも結果が求められる。
奥山恵美子市長が「未来前進型予算」と名付けたように、将来の都市の魅力と活力を生み出す取り組みに予算を手厚く配分した。主要な新規事業は復興関連7事業に対し62事業に上り、意気込みが強く反映された。
財源不足235億円は財政調整基金を取り崩し、何とかやりくりしたが、職員削減や事業見直しによる行財政改革は頭打ちの感がある。打開策として示したの は、税収増や長期的な経費削減につながる「攻めの行革」。中小企業活性化基金の創設に30億円、公共施設の長寿命化推進に59億円を充てたのはその一端 で、今後も不可欠な視点だ。
もう一つ肝心なのが予算を有効活用し、最大限の成果を出す姿勢。市の13年度包括外部監査は、市経済局の事業に対し、助成金の効果の継続的なチェックや随意契約の合理性の検証を求めた。税金の無駄遣いの可能性を指摘されたのと同義で、反省すべきだろう。
昨年12月の衆院選開票作業での青葉区選管の票水増し問題をきっかけに、市の職員と組織に向けられる視線は厳しい。職員一人一人が市民から税金を託されて いる重みを再認識し、それぞれの仕事で全力を尽くすことが、奥山市長の目指す「新生・仙台」実現の鍵となり、ひいては信頼回復への一歩にもなる。
(解説=報道部・東野滋)