仙台市は30日、宮城県内初のパークPFI(民間資金活用による社会資本整備)方式で、榴岡公園(宮城野区)の旧レストハウス周辺を再整備する民間事業者を決定したと発表した。ハンバーグ専門店「HACHI」を運営するオールスパイス(青葉区)など3社のグループで、旧レストハウスを解体し、レストランやジムが入る収益施設を建設する。2020年3月にオープンさせ、公園に新たなにぎわいをつくる。
事業者は、オールスパイスと造園設計の環研(東京)、秋葉造園(宮城野区)の3社でつくる「榴岡PFIプロジェクトメンバー」。
市によると、再整備エリア約2300平方メートルのうちレストハウス跡地に2階建ての収益施設を整備する。延べ床面積は約790平方メートル。全面ガラス張りで、屋上階も利用する。
ハンバーグやパスタなどを提供するレストラン、カフェ、ジムのほか、公園内をジョギングする市民向けに、有料のシャワーやロッカーを備えたランニングステーションを設置する。
建物周辺の約1700平方メートルは公共スペースで、ウッドデッキなどを配置する計画。保存する16本の樹木も生かし、建物と一体的な緑地空間に整備する。完成後は市に無償で譲渡する。
事業費は約2億8300万円。市が2000万円を補助し、残りは事業者が今後のレストランなどの収益から工面する。事業期間は20年間。事業者は毎月、市に1平方メートル当たり200円の公園使用料を支払う。
市が6月に始めた事業者の公募に同グループのみが応じた。外部の有識者を含む選定委員会の審査で、ユニークな提案内容と建物のデザインが評価された。市は12月に基本協定を締結し、19年5月の着工、20年2月の整備完了を目指す。
旧レストハウスは1981年完成で、老朽化が進んでいた。2002年に営業を終了し、その後はほとんど使われていなかった。
郡和子市長は「榴岡公園に新たな楽しみが加わる。都心のオアシスとして、地域全体のにぎわいに結び付けばいい」と期待した。
[パークPFI]民間事業者に公園施設を賃貸し、飲食店や売店などの収益施設を設置してもらい、収益の一部で公園の改修や維持管理を行う新たな整備手法。17年の都市公園法改正で創設された。民間投資を誘導して都市公園の価値を高め、管理者の財政負担を軽減する狙いがある。東北では盛岡、むつ両市が採り入れている。