仙台市は東日本大震災に伴う防災集団移転跡地の利活用事業で、新たに市民農園などを計画する5事業者を候補者に決定した。同事業は南蒲生、荒浜など沿岸部の5地区31区画(44.3ヘクタール)で募集。今回決まったのは4地区7区画(5.0ヘクタール)で、これまでの4地区18区画(35.9ヘクタール)と合わせると、約9割の移転跡地で利活用方針が固まった。
市は昨年10月、井土地区を除く南蒲生、新浜、荒浜、藤塚の4地区13区画(8.4ヘクタール)で募集した。7事業者の応募があり、外部専門家を含む選定委員会が審査し、5事業者に絞った。
南蒲生地区では、宮城野区の企業が2区画(0.8ヘクタール)で、障害の有無に関係なく人々が交流する「ソーシャルファーム」を展開。新浜地区の1区画(0.2ヘクタール)は、地元農家が野菜の収穫体験ができる農園を経営し、ハマボウフウなどの海浜植物の栽培も行う。
荒浜地区では、震災前の住民2人が2区画(0.6ヘクタール)でそれぞれ市民農園を営む。藤塚地区の2区画3.4ヘクタールは、建設業の深松組(青葉区)が農園や温泉などの複合施設「アクアイグニス仙台」を整備する。
2日は市役所で候補者決定通知書の交付式があった。郡和子市長は「被災地の再生が目に見える形になる。にぎわいが生まれ、交流が拡大する」と期待した。