◎通学便利に 受験生増期待/沿線他校との連携に弾み
今月6日に開業した仙台市地下鉄東西線沿線の高校が、地下鉄のもたらす変化に期待 を寄せている。間もなく入試シーズンが本番を迎えるのを前に、通学の利便性が向上した各校は初年度から受験者増に望みを懸ける。鉄路でつながった他校や大 学との連携に弾みがつくと喜ぶ学校もある。教育現場への東西線開業効果を探った。(報道部・相沢みづき)
シャトルバス運行
地下鉄駅で高さ日本一の八木山動物公園駅に近い仙台城南(太白区)。周辺は急な坂が多く、自転車・バス通学で苦労を強いられてきた生徒の一定数が地下鉄に切り替えるとみられる。
駅から徒歩で16分ほどだが、朝夕に無料シャトルバスを走らせる。所要時間は7分。南北線と乗り継いで泉区や宮城県富谷町からも通ってもらおうと、2016年度入試で富谷町に試験会場を新設する。
佐々木啓充教頭は「市東部の中学校から募集要項の追加送付の依頼が来た。これまで通学条件を理由に敬遠されてきた地域の受験生にとっても、志望校に十分なり得る」と展望を語る。
市交通局がパンフレットで東西線各駅から「おおむね1キロ圏」と紹介する各高校・大学は表の通り。「定期券を使い切るまで様子を見るのでは」などと通学事情はすぐには変わらないとの見方がある一方、学校生活全般も含めた変化は確実に現れている。
新たに校門を設置
聖和学園薬師堂キャンパス(若林区)はグラウンドの一角を薬師堂駅に提供。東西線開業に合わせて新たに南門を設置。同校は「駅周辺の一帯が明るい雰囲気になった。『聖和学園前』の車内アナウンスに喜ぶ生徒もいた」と歓迎する。
仙台一(同)も学校名がそのまま連坊駅の副駅名に採用された。10年導入の全県一学区化で、南北線を利用して旧仙台北学区からも生徒が通う。
渋谷貴彦教頭は「同じ東西線沿線の仙台二とは定期戦や部活動で生徒同士の交流が多く、東北大と高大連携にも取り組んでいる。学習や学校生活にさらに広がりが出るだろう」と話す。
仙台東(同)は東西線沿線ではないが、開業に伴うバス路線再編で荒井、薬師堂両駅、JR長町駅と結ぶ路線が新設され、通学手段が増えた。
同校は最寄り駅がいずれも遠く、自転車通学またはJRや地下鉄と自転車の組み合わせによる通学が9割を占める。バス路線新設で「悪天候時の通学が楽になるのでは」と同校はみる。