<伊達政宗>長女の霊廟 往時の風格復活

宮城県松島町の天麟院にまつられている仙台藩祖伊達政宗の長女五郎八(いろは)姫(1594~1661年)の霊廟(れいびょう)の補修が、ほぼ終わった。 約2年間かけて漆を全面的に塗り直し、1895(明治28)年の再建当時の風格がよみがえった。4月ごろに予定されている落成式で披露される。

大掛かりな補修は劣化防止が目的で、再建以来初めて。作業は2014年3月に始まり、霊廟の柱9本を茶色に、扉の外枠などを黒に塗り替えた。重厚で深みのある色合いがしっくいの白壁に映える。
山形市の漆職人蜂谷哲平さん(69)が漆約20キロを使い、多い所は40回も塗り重ねるなどして仕上げてきた。「年間を通して屋外で作業するのは大変だったが、百年後の参拝者にも見られると思うと気が引き締まった」と語る。
国産漆の普及に取り組む日本漆総合研究所(山形市)の代表理事でもある蜂谷さん。国内で流通する漆の多くが外国産と言われる中、今回使ったのは全て国産だった。自ら木を植えて採取した宮城、山形両県産の漆という。「国産は色合いが美しく、耐久性にも優れる」と強調する。
五郎八姫は徳川家康の六男松平忠輝と結婚したが離縁して仙台に戻り、松島にもゆかりがあったとされる。霊廟は1663年5月8日、姫の三回忌の際に建てられた。明治時代の廃仏毀釈(きしゃく)で取り壊されたが、間もなく再建され、大切に守られてきた。
天麟院の村山秀允住職(70)は「完成したら霊廟を多くの人に見てほしい。月命日の8日に手を合わせていただけると五郎八姫も喜ぶでしょう」と話す。

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