<八木山動物公園>市民に元気 きょう50周年

仙台市八木山動物公園(太白区)は15日、開園50周年を迎える。仙台を代表するレジャー・教育施設として長く親しまれ、12月開業の市地下鉄東西線では八木山動物公園駅が設置される。半世紀の歴史を経て、新時代に入る。

<現 在>
飼育する動物は開園当初の100種360匹から126種479匹に増えた。毎年50万人近くが訪れ、歓声が響き渡る。頻繁に通う青葉区の主婦村上博美さん (53)は「四季の景色は大人にも魅力的」と言う。県内有数の集客スポットだが、肝心の動物の調達が課題になっている。
海外から購入したり動物園間で交換したりしてきたが、動物福祉の観点で難しくなっているからだ。ゴリラやホッキョクグマは国内最高齢と高齢化も著しい。
対策として、2007年から本格的に繁殖に取り組んでいる。13年度には飼育員の専門職採用を開始。知識と技術を備えた飼育員が繁殖環境を整え、スマトラトラやレッサーパンダの誕生を実現させた。阿部敏計副園長は「地道に種の保存の取り組みを続けたい」と決意を語る。

<過 去>
八木山動物公園のルーツは、1936年に広瀬川河畔の評定河原(青葉区花壇)に開園した市動物園。東北初の動物園だったが、戦時中の物資逼迫(ひっぱく) などの影響で45年に閉園した。57年に子供動物園として青葉区荒巻三居沢に復活。敷地が手狭になり、現在地に移転開業した。
2011年の東日本大震災では運営の危機にひんした。飼育舎の一部が破損し、餌や飲料水の供給網も途絶、一時閉園に追い込まれた。全国の動物園の支援を受けて震災後43日目に再開し、市民らを元気づけた。
当時園長だった遠藤源一郎さん(63)は「いち早く再開しようと職員は必死だった。再開後は福島や津波被災地の子どもたちも来て喜んでくれた。動物を見て命や生きる意味を感じた様子だった」と振り返る。

<未 来>
東西線開業後、八木山動物公園駅と仙台駅は12分で結ばれる。バスの場合はラッシュ時で32分かかっており、20分の大幅な時間短縮。マイカー利用が減少すれば、長年の懸案だった交通渋滞も解消に向かうと期待される。
25年までを目標年次とした段階的な施設改修も進行中で、東西線開業とともに新時代に入る。大内利勝園長は「動物に会い、学び、種を守る『自然への窓』になれるよう努めていきたい」と意欲を示す。

タイトルとURLをコピーしました