<公示地価>仙台中心部 投資マネー流入

21日公表された地価公示で、仙台市中心部で続く不動産取引の盛況ぶりが浮き彫りになった。投資ファンドのビル買収や、デベロッパー主導のマンション開発が相次ぐ。日銀の金融緩和政策による投資マネーが仙台に流れ込んでおり、専門家は「今年も同様の傾向は続く」と分析している。
昨年は青葉区一番町の老舗衣料品店「大内屋」の本店ビルを東京の投資ファンドが買収。今年に入り、投資法人による31階建て高層ビル「SS30」の購入も明らかになった。
青葉区の千葉和俊不動産鑑定士は、低金利を背景に札幌、仙台、広島、福岡各市など主要地方都市に投資マネーが向かっていると指摘。「外国人観光客の増加によるホテル需要が見込まれている」と指摘する。
仙台駅前の「さくら野百貨店仙台店」の運営会社が経営破綻したことに伴い、将来的には駅前再開発も想定される。千葉氏は「仙台駅周辺はさらなる価格上昇の可能性がある」と見通す。
旺盛なマンション需要も市中心部の価格を引き上げている。市場調査を手掛けるDGコミュニケーションズ仙台支社によると、市内のマンション供給戸数は2015年の891戸に対し16年は1241戸に上昇した。
各デベロッパーは復興需要の落ち着きを踏まえ、生活が便利な市中心部に居住地を構えたいファミリー層や高齢夫婦世帯のニーズを掘り起こす。
同支社は「購入価格が上がっても、低金利のため総支払額は数年前と大きく変わらない場合も多い」と説明。今後は、19年10月の消費税率10%引き上げを見据えた駆け込み需要の高まりも予想されるという。

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