国土交通省は27日、2018年1月1日現在の公示地価を発表した。東北6県の平均地価は住宅地が0.9%で4年連続、商業地が1.0%で2年連続の上昇。宮城県は仙台圏の不動産需要に支えられ、上昇率が住宅地で全国2位、商業地で5位だった。東日本大震災の沿岸被災地は移転需要の収束や人口流出が影響し、住宅地の下落傾向が強まった。
東北6県と仙台市の平均地価と変動率は表の通り。住宅地は宮城県の上昇率が0.3ポイント増加。青森、秋田、山形各県は長年の地価下落で底値感が広がり下げ幅が改善した。岩手県は下落率が0.2ポイント増えた。
福島県の住宅地は5年連続で上がったが、変動率は0.7ポイント減。東京電力福島第1原発事故による避難者の移転需要がピークを過ぎ、避難者が集中したいわき市もプラス2.6%(前年4.3%)と鈍化した。
沿岸被災地の住宅地は岩手、宮城両県の22市町村のうち8市町が上昇や横ばいから下落に転じ、計15市町村でマイナスとなった。
県庁所在地の住宅地は仙台市の上昇が続く。2015年12月に開業した市地下鉄東西線沿線の取引が依然として活発なのが要因。山形市は上昇率が伸び、盛岡、福島両市は縮小した。青森、秋田両市は下落率が改善した。
商業地は盛岡、山形両市がいずれも25年ぶりに上昇に転じた。
調査地点別では、仙台市若林区卸町東4丁目が工業地上昇率8.2%と全国10位になった。市街地や東北自動車道のインターチェンジに近く、物流施設用地が高値で取引された。
東北の調査地点は計1865カ所。このうち福島県の12カ所は原発事故の影響で休止した。
[公示地価]地価公示法に基づき、国土交通省の土地鑑定委員会が公表する1月1日時点の土地価格。一般の土地取引の指標となる。今回の調査地は全国で計2万6000カ所(うち福島県の12カ所は休止)。他の指標は都道府県が7月1日時点の地価を調べる基準地価、国税庁が算出する主要道路沿いの路線価などがある。