<北から南から>第2青函トンネルで夢を見たい 青森

夢はある。されど金はない。北海道と本州を結ぶ青函トンネルと並行する「第2青函トンネル」構想が実現するかは霧の中だ。

 第2トンネルは自動車専用道路の設置を想定する。四国、九州は橋かトンネルで車の行き来できるが、津軽海峡はいまだにかなわない。北海道出身で、今の勤務地は青森県。構想は魅力的に映る。

 現実はどうか。構想を示す日本プロジェクト産業協議会は事業費を1兆円超とはじく。巨大インフラ事業は当初の予算内に収まらないケースも多い。近年の資材高に照らせば、案の見直しは避けられない。

 青函トンネルが開通して今年で35年を迎えた。工事は、日本列島改造論を唱えた田中角栄元首相も推進を指示。高度経済成長期を象徴するようなインフラの整備は急速に進んだ。

 第2トンネル構想を推す青森県今別町の阿部義治町長、北海道福島町の鳴海清春町長は青函トンネル建設時のにぎわいを回顧し「あの夢をもう一度」と口をそろえた。過疎化が進む半島の町の悲哀すらにじむ。

 人口減少で社会が縮小していく中、新トンネルの優先度は高くない。ただ、東北、北海道のにぎわい創出に一役買うのは間違いない。日本が高揚感に包まれていた時代を知らない私は夢を見てみたい。(青森総局・伊藤卓哉)

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