<北朝鮮>ミサイル失敗 上空120キロで爆発

13日午前7時40分ごろ、北朝鮮は「人工衛星打ち上げ」名目で事実上の長距離弾道ミサイルを、同国北西部・東倉里(トンチャンリ)の西海(ソへ)衛星発射場から発射した。日本政府など各国政府が確認した。日本の防衛省や米メディアなどによると、ミサイルは上空120キロまで、飛翔(ひしょう)して爆発した。ミサイル打ち上げは06年の時と同様、失敗したとみられる。破片は韓国西方の黄海に落下した。国連は日本時間の同日夜、安全保障理事会の開催を決定するなど、国際社会の自制要求を無視して北朝鮮がミサイル発射したことに、批判を強めている。
 韓国メディアが発射直後の午前7時50分ごろ、「ミサイル発射」の一報を伝え、米メディアも報じた。日本政府は午前8時過ぎ、「我が国としては確認していません」と、緊急情報ネットワーク(エムネット)を通じて発表。その後、田中直紀防衛相が午前8時23分に記者会見し、「7時40分ごろ、北朝鮮からなんらかの飛翔体が発射されたとの情報を得ている。飛翔体は1分以上飛行し、洋上に落下した模様だ。我が国の領域への影響は一切ない」と述べた。
 日本上空の通過にそなえて沖縄・石垣島など7カ所に配備した地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」(PAC3)は発射しなかった。
 米ホワイトハウスは報道官声明で、ミサイル打ち上げは失敗としたうえで、「地域の安全を脅かし、国際法に違反する挑発的行為」と非難した。また、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は13日朝、青瓦台(大統領府)で緊急の外交安保担当閣僚会議を開催。金星煥(キム・ソンファン)外交通商相は、「北朝鮮のミサイル発射は失敗した。どのような発射も禁じた国連安保理決議に明確に違反している」との政府声明を発表した。
 韓国の金寛鎮(キム・グァンジン)国防相は会見で「ミサイルは発射から1、2分後に空中爆発し、二十数個の破片が京畿道(キョンギド)平沢(ピョンテク)から全羅北道群山の西方沖の黄海に落下した」とした。ミサイルは3段式で、弾頭部分に衛星を登載すると北朝鮮は主張していた。韓国軍高官は、北朝鮮が発射したミサイルは第1段と第2段が分離されないままバラバラになったとしている。
 ミサイルの航跡を追尾するため黄海に出動していた韓国軍のイージス艦が探知したという。
 発射情報について、日本政府は、米軍の早期警戒衛星(SEW)が熱感知によるミサイル発射の兆候を探知し、ミサイルは北朝鮮西岸から南に向けて発射が確認されたとしている。日本政府は安全保障会議を開き、情報の分析を行っている。
 北朝鮮はミサイル発射について午前11時20分時点で、一切報じていない。
 国連安全保障理事会は13日午前10時(日本時間13日午後11時)に会合を開き、北朝鮮のミサイル発射を受けた対応を協議する。

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