来年春の北海道新幹線開業を見据え、道南の各自治体が、ぐんと近くなる100万都市仙台に熱い視線を注いでいる。マラソン大会にブースを構えたり大規模な 観光PRイベントを企画したりと活発な誘客作戦を展開。一方の仙台市は動きが鈍く、北海道へのアプローチはこれからの段階だ。
国土交通省によると、北海道新幹線新青森-新函館北斗間の開業で、仙台-新函館北斗間は約2時間半で結ばれる見込み。現在の5時間弱から半分に短縮され、函館から3時間強かかる札幌よりも短時間となる。
2013年度に国内、国外の観光客数が過去最高となった北海道は、新幹線開業を一層の集客力アップの好機と位置付け、仙台での顧客獲得に力を入れる。
新函館北斗駅(北海道北斗市)に隣接する函館市は、仙台市で10日に開かれる第25回仙台国際ハーフマラソン大会にブースを出展。16年度にフルマラソンとなる函館市など主催のマラソン大会に新幹線を利用して参加するよう呼び掛ける。
北海道側の玄関口、木古内駅のある木古内町は昨年7~8月、町のゆるキャラ「キーコ」を仙台七夕まつりなど市内の各種イベントに登場させた。本年度も同様の計画。担当者は「仙台市民に町名を覚えてもらい、新幹線で遊びに来てほしい」とアピールする。
自治体連携も積極的だ。函館、木古内両市町を含む道南各市町はことし11月、仙台市青葉区の勾当台公園市民広場で3日間にわたり食と観光をPRするイベントを開く。7市町が参加した一昨年に続き、道南の周遊旅行の魅力を訴える。
昨年10月に仙台市中心部に東北初のアンテナ店を設けた北海道は「新幹線開業で東北と経済交流は深まる。100万都市の仙台で商品や観光をアピールするのが効果的だ」と道内市町村の仙台進出を後押しする。
一方の仙台市は、北海道からの誘客は「修学旅行の誘致に力を入れたい」(観光交流課)という程度。東北の新幹線沿線のある自治体は「観光が好調な北海道か ら仙台に客が流れれば、東北全体に効果が及ぶ」と仙台の誘客促進に期待する。仙台市の伊藤敬幹副市長は「北海道新幹線開業で道南が仙台の日帰り圏に入る。 観光や買い物で来仙してもらえるようにプロモーションを強化したい」と話す。