<北海道新幹線>道南と仙台 思惑に違い

◎開業まで半年(中)温度差

北海道をはじめ全国各地のグルメがそろった。今月上旬、函館市中心部であった「はこだてグルメサーカス2015」。来場者は2日間で計19万人に達した。
函館市など主催のイベントは4年目。ことしは「北海道新幹線開業プレ事業」との位置付けだった。
東北からも計42店が参加した。約130店に及んだ全体の3分の1を占め、北海道新幹線開業への期待の高さがうかがえた。

<参加はゼロ>
とはいえ、青森、岩手両県の北東北が大半で、南東北は宮城県気仙沼市の1店と福島市の2店のみ。仙台圏からの参加は一切なかった。
「参加ゼロはあまりに寂しい。仙台圏と函館の時間距離は大幅に近くなるのに…」。イベント関係者はけげんそうに語る。
北海道新幹線で結ばれる東北と函館を中心とする道南地域。函館側が熱い視線を送るのとは対照的に、100万都市・仙台側の反応は驚くほど冷ややかだ。
仙台の経済界からは「新幹線が札幌まで延伸すれば大きなインパクトになるが、道南の市場は小さい。現状ではビジネスとして成り立たせるのは厳しい」との声すら漏れる。
各新幹線の開業効果や地域づくりなどを研究する青森大の櫛引素夫准教授は「残念ながら仙台圏の企業関係者の目は、仙台より北には向いていない」と指摘。東 北新幹線が1991年に東京に乗り入れ、首都圏と結ばれた時点で「新幹線のメリットが達成されたと受け止められている」と分析する。
函館商工会議所の担当者も「仙台圏の道南地域への反応は、こちらが提供する広告・情報量に比例こそすれ、現状ではそれ以上に広がることはない」と言う。

<魅力を発信>
これに対して北海道側は積極的だ。道南地域の2市16町は11月、仙台市青葉区の勾当台公園で「函館・みなみ北海道グルメパークin仙台」を開く。
仙台開催は3回目になる。約40ブースを設け、道南の食と観光の魅力を仙台市民らに印象付ける戦略。函館市観光推進課の横山敬一課長は「函館に興味を持ってもらう効果的なプロモーションにしたい」と意気込む。
開業まで半年となり、仙台市にもようやく動きが出始めた。「来年のはこだてグルメサーカスに仙台圏からの出店を目指す」と市観光交流課の担当者。北東北がほとんどだった道南からの教育旅行についても「誘致に力を入れる」と力説するが、具体策はこれからだ。
青森大の櫛引准教授は「北海道新幹線開業で、東北の中心都市の仙台は、新たな未来像を描く構想力が試されることになる。道南を東北に加え、新たな東北像をつくることができるかどうか。その覚悟が求められている」と主張する。

[道 南地域] 函館市や北斗市、木古内町など2市16町を指す。域内人口(2010年調査)は約46万9000で、うち函館市が約27万9000と6割を占め る。18市町の域内総生産(11年度)は名目で1兆3931億円。観光客の入り込み数(12年度)は1083万4000人。

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