<北海道新幹線>開業へ女性の取り組み活発化

北海道新幹線の開業まで半年を切る中、青函圏の女性を中心とした民間団体が、北海道南などを巡るツアーや自然を生かした体験型観光など独自の誘客活動に力 を入れている。民間主導で新幹線沿線以外にも幅広く開業効果を浸透させるのが狙いで、関係者は「新幹線開業は観光客獲得のチャンス」と意気込んでいる。

<観光ツアーは満員>
「マグジョって何!?」。9月上旬、開業PRのため函館市の商業施設「金森赤レンガ倉庫」に「津軽海峡マグロ女子会」(マグ女)が出店した物販ブースには青函圏の名産品を求めて多くの観光客が足を止めた。
津軽海峡を挟んで対面する青森と道南。マグ女は、マグロのように元気にチャレンジし続ける女子のつながりを生かし、両地域を活性化させようと昨年3月に発足した。会員は青森、道南双方の63人。
発起人の一人で青森県大間町でまちおこしに携わる島康子さん(50)は「八戸、新青森と新幹線が開業したが、下北半島は新幹線駅から遠く人ごとのようなところがあった。3度目の開業が迫り『今やんねばねーべさ』となった」と語る。
力を入れるのが、青森や道南を巡る観光ツアーだ。昨年9月からことし6月にかけて、津軽半島、下北半島、道南を巡るツアーをそれぞれ実施。マグ女が同行し、大漁旗を振って観光客を出迎えるなど独特の「おもてなし」が受け、どのツアーも満員となる人気だ。
島さんが目指すのは大間-函館を結ぶフェリーと新幹線を組み合わせた周遊ルートの構築だ。「島に行く感覚で函館から下北半島に来たら面白い。マグ女を通じて巡るたびに玉手箱のように面白さが出てくるエリアをつくりたい」と話す。

<行政対応に疑問>
八戸市中心部にある情報発信型カフェ「街カフェみなと」には、同市周辺で楽しめる体験型観光を紹介したパンフレットが並ぶ。運営するNPO法人ACTYの 町田直子代表(51)は「函館は誰もが知る観光地。函館になく青森にあるもので観光客を引っ張ることが重要だ」と力説する。
開業に向けてACTYでは人と食を絡めた体験型観光を促進する。昨年秋には三陸復興国立公園内にある階上岳に登りそばシャーベットを食べるトレッキングを開催。ことしは種差海岸の天然芝の上で朝食を味わうプログラムも用意し、いずれも盛況だった。
町田さんは「観光客は日常にない体験を求めている」とした上で「函館との違いを明確にしつつも、特産品のイカなど共通部分でつながり、八戸を旅の目的地にしてもらうことでマーケットが広がる」と語る。
一方、開業が近づく中、いまだに観光資源の掘り起こしばかり叫び続ける行政の姿勢には疑問を投げかける。町田さんは「行政は観光資源を商品化するのに弱い。資源発掘よりも商品化できる民間企業を育成する時期に来ている」と強調する。

タイトルとURLをコピーしました