仙台市中心部のアーケード商店街や歓楽街の国分町(青葉区)で確認された客引きが約700人に上ったことが、市が7月に実施した調査で分かった。市民などから「邪魔」「怖い」といった苦情が増えているといい、実効性のある客引き禁止条例の早期制定を望む声が高まっている。
市が市中心部の六つのアーケード商店街と国分町を対象に7月6日に実施した調査によると、午後6~10時に商店街や国分町付近で確認された客引きは計693人で、昨年11月から同じ対象で実施している計5回の調査で最多だった(グラフ参照)。
国分町と一番町4丁目商店街を除いた5商店街での増加が著しく、計147人と6月を約50人上回った。業種別で居酒屋の客引きが増えており、国分町の店舗からJR仙台駅前まで「遠征」しているという。
商店街関係者は「夏場の書き入れ時で飽和状態となった国分町の客引きが、離れた商店街まで出てきているのではないか」と分析。一番町3丁目で客引きしていた国分町の居酒屋従業員の20代男性は「国分町は競争が激しい。若い客引きが仙台駅前まで行かされている」と明かす。
仙台中央署に寄せられる苦情も増えている。6月は今年最多の179件で、5月から78件増加。客引き行為への関心が高まり、市民からの通報などが多くなったことも一因という。
市や商店街はこれまでさまざまな客引き対策を講じてきたが、効果は一過性で根本的な解決に至っていない。
市は客引き行為を全面的に規制する独自条例の制定を検討中。条例の中間案に対するパブリックコメント(意見公募)を9月にも実施し、市議会12月定例会への条例案提出を目指している。