<国勢調査>人口減対策に限界 発想転換を

【解説】12日出そろった6県の2015年国勢調査速報値からは、東日本大震災前から進行していた東北の人口減少に被災が拍車を掛け、もはや歯止めを期待できる局面ではない厳しい現実が浮かび上がった。
人口減少幅が比較的小さい岩手、宮城も、建設作業員やボランティアらの一時的な流入という震災の影響を受けているにすぎない。福島は、東京電力福島第1原発事故による県外避難者が戻っていない。
過疎地の実態は、有識者らの日本創成会議が警鐘を鳴らした「自治体消滅」にまた一歩近づいた。一方で仙台圏への人口集中はさらに加速し、「仙台1強」の構図がより強まった。
各県は保育所新設、企業誘致など人口減少対策に熱を上げるが、いずれの政策も独創性を欠く。政府が掲げる「地方創生」の交付金活用策も観光客ら交流人口の拡大頼みで、横並びの印象がぬぐえない。
縮小する人口の奪い合いには限界がある。従来の型にとらわれず、人口減少下であっても各世代が幸せに暮らせる地域づくりが今こそ求められる。抜本的な発想の転換が急務だ。(報道部・片桐大介)

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