仙台市青葉区の北六番丁通の地下を流れ、土木学会の選奨土木遺産になった水路網「四ツ谷用水」のせせらぎを復活させようと、市民有志による運動組織が10 月14日に発足する。北六番丁通に面した東北大雨宮キャンパスの移転に伴う再開発に合わせ、有志らは「街中に潤いの空間を取り戻したい」と願う。
名称は「仙台『桜川』を復活する市民の会」。かつて用水の周囲に桜が植えられ、憩いの場になっていたことに由来する。代表には仙台・水の文化史研究会元会長の佐藤昭典氏が就く。
四ツ谷用水は仙台藩祖伊達政宗の命で造られ、広瀬川から取水し生活用水のほか染め物や農業用水など産業面でも使われた。市街地を縦横に流れ、総延長は44キロ。上下水道の普及に伴いほとんどが地下水路化され、昭和初期ごろまでに街の風景から姿を消した。
本流は現在も工業用水として使われ、北六番丁通の地下を流れている。通り沿いの東北大雨宮キャンパスは2018年2月までに同大青葉山キャンパス(青葉区)へ移転する予定で、跡地にはイオンモール(千葉市)が商業施設などを建設する。
市民の会の案では、東西に流れる本流を敷地に引き込むなどして水辺をよみがえらせたい考え。市や業者の協力を得ながら商業施設と潤いのある街づくりの両立を目指した市民運動を展開する。周辺の上杉、北仙台地区など地域住民にも積極的に参加を呼び掛ける。
市民の会発足の集いは14日午後1時半から、青葉区の市市民活動サポートセンターで。佐藤氏は「市民に潤いを与えたせせらぎは全国に誇るべき歴史遺産。多くの人に参加してもらい復活を実現させたい」と話す。