国土交通省が19日発表した7月1日現在の都道府県地価(基準地価)は、地下鉄東西線開業や駅前再開発の影響で仙台市が住宅地で5.2%、商業地で8.7%前年を上回った。福島県は東京電力福島第1原発事故に伴う移転需要がピークを過ぎたものの、住宅地の上昇率は1.0%と全国3位だった。
東北6県と仙台の平均地価と変動率は表の通り。東北の平均地価(1平方メートル当たり)は住宅地で0.6%、商業地で0.5%下落。それぞれ19年連続、26年連続のマイナスで下げ幅は縮小した。
宮城は仙台に隣接する富谷市や名取市も上昇傾向にあり、全体を押し上げた。青森、岩手、秋田、山形はいずれも下落。岩手の住宅地は東日本大震災の沿岸被災地の移転需要が落ち着いたことが影響した。秋田は住宅地、商業地とも下落率が全国ワーストだった。
工業地の東北平均は0.1%減。仙台は8.5%と6年連続で上がった。
調査地点別では、仙台の3地点が住宅地上昇率の全国10位入りした。若林区東八番丁(11.3%、6位)泉区紫山1丁目(10.6%、9位)若林区裏柴田町(10.5%、10位)で、若林の2地点は開業から1年9カ月たった東西線沿線。
各県庁所在地は福島市を除き、上昇傾向が見られた。山形市の商業地は下落から上昇に転じ、前年を0.1%上回った。
原発事故の影響で調査休止となったのは22地点。福島県浪江町など10地点は避難指示が解除されたばかりで「住民の帰還が進まず通常の土地取引がない」と判断された。南相馬市小高区など6地点は復興への歩みが始まり、調査が再開された。