国土交通省が20日発表した7月1日現在の都道府県地価(基準地価)は、地下鉄東西線開業などの影響で仙台市が住宅地で4.5%、商業地で7.6%前年を 上回った。福島県の住宅地は東京電力福島第1原発事故に伴う移転需要が続き、3年連続で上昇したが、上昇率は1.5%と0.5ポイント縮小した。
東北6県の平均地価(1平方メートル当たり)は住宅地が0.7%下落し2万2700円、商業地が0.9%下がり6万4100円。それぞれ18年連続、25年連続の下落だが、下げ幅は震災翌年の2012年から毎年縮小している。各県と仙台市の平均地価と変動率は表の通り。
宮城は仙台が県全体の地価を押し上げた。昨年12月開業の東西線新駅周辺で住宅需要が増え、商業地もJR仙台駅周辺の再開発事業など好材料がそろう。仙台の上昇率は東京都区部と人口50万以上の都市の計28カ所のうち住宅地が1位、商業地が大阪市に続く2位だった。
福島は原発事故避難者が多いいわき市が住宅地上昇率全国10位以内に2地点(前年8地点)入った。福島市は3.2%でほぼ横ばい。
秋田は住宅地、商業地とも下げ幅が全国最大。住宅地は秋田市手形の1地点が上昇に転じ、14年ぶりに県内で地価の上昇地点が出た。青森、山形は住宅地、商業地とも下落幅が縮小し、岩手は住宅地で下げ幅がやや広がった。
調査地点別では、住宅地でいわき市四倉町の上昇率が12.3%で全国3位。東西線連坊駅に近い仙台市若林区裏柴田町(11.7%)は全国5位だった。一関市千厩町千厩は8.2%減で全国ワースト9位。地域経済の低迷などが響いた。
他県庁所在地は住宅地で盛岡、山形両市の上昇率が前年を上回り、青森、秋田両市は下落幅が改善した。