墓前で手を合わせる1人の女性。墓碑には「漱石」の文字が刻まれている。
ここは、都立雑司ケ谷霊園(豊島区南池袋)。1874(明治7)年開設。約10万6000平方メートルの敷地に約9000の墓がある。この中に夏目漱石をはじめ、永井荷風、竹久夢二、泉鏡花、ジョン万次郎ら歴史上の人物の墓が並ぶ。
都心にある霊園が今、「墓マイラー」の人気スポットになっている。墓マイラーとは、著名人の墓を訪ね歩く人たちのこと。週末になると、中高年の夫婦や20代の若者らが霊園を訪れる。管理事務所によると「先人が残した小説や絵を見て、霊園に来る人が多いようです」という。
江戸、明治、大正、昭和--。異なる時代を生きた偉人らが同じ空間にいる。何とも不思議な場所である。【武内亮】
〔都内版〕