記録的な大雪により、ネギなど関東地方を主産地とする野菜の価格が高騰している。もともと今冬は例年と比べ気温が低く、野菜の値段が「高止まり」していたが、大雪が追い打ちをかけた形。各地の孤立集落は徐々に解消し、物流も回復し始めているが、影響はしばらく続きそうだ。【市川明代、本多健】
【食卓への影響必至】農産物被害190億円以上
「過去にないほどのダメージを受けています」。19日朝、首都圏を中心に店舗を展開する中堅スーパーの担当者が打ち明けた。
冬場の売れ筋のネギの販売価格は3本180円前後から2本で250~298円まで上昇。ダイコンは1本180円前後から250~298円にまで上がった。通常、台風シーズンなどに代替商品として客に勧めるモヤシやカイワレなども工場の機能停止や物流の影響などで原料が入手できず「それすら並べられない状態」だ。
2分の1カットを3分の1カットにするなど消費者をあおらないよう工夫しているが「雪の影響は、畑が回復する3月ごろまで続くのではないか」とみる。
東京都中央卸売市場大田市場では、15日ごろから千葉、埼玉両県が主産地のネギの価格が高騰。18日の5キロあたりの取引価格は最も高い値で6300円。10日前の8日(3150円)の2倍にはね上がった。このほかニンジンが1.25倍、ホウレンソウが1.67倍それぞれ値上がり。埼玉県や群馬県では畑が雪で埋まり、収穫ができない状況が続いている。一方、九州地方が主な産地のトマトなども一時的に値は上がっていたが、物流の回復とともに戻っているという。
牛丼チェーン店も食材の配送遅れで営業に影響が出た。「松屋フーズ」(東京都)は中央道沿いの山梨・長野両県を中心に営業時間を短縮したり、一部のメニューの提供を見合わせたりした。同社の広報担当者は「24時間営業が基本なので、お客さまの少ない時間を中心に店を閉め、できるだけ影響が出ないように工夫した」と話した。「吉野家」(東京都)でも、関東地方の工場から甲信越方面の配送に支障が生じた。牛丼やサラダ類など一部メニューが注文できないケースも出た。