<学制改革>小中一貫校を制度化 自治体に権限…文科省検討

 文部科学省は、市区町村の判断で公立の「小中一貫校」を設置できる制度の導入に向けて検討を始めた。現在、一部の自治体が小中一貫校を「特例」として導入しているが、制度化で普及拡大を狙う。現行の小学校6年、中学校3年の「6・3制」だけでなく、9年の義務教育期間を「4・3・2」や「5・4」と弾力的に運用し、地域の事情などに合わせた教育課程(カリキュラム)の編成が可能になる。政府の教育再生実行会議が議論中の「学制改革」提言にも盛り込まれる見通しで、同省は来年の通常国会に学校教育法の改正案を提出する方向だ。
 小中一貫校は義務教育の9年間を通したカリキュラムで教育する学校。小学6年、中学3年の区切りにとらわれず、例えば「前期5年、後期4年」など弾力的に運用できる。現行の学校教育法は学校の種類として、幼稚園▽小学校▽中学校▽高校▽中等教育学校(中高一貫校)▽特別支援学校▽大学▽高等専門学校--を定めているが、新たに小中一貫校を「義務教育学校」(仮称)の名称で加える方向で検討する。
 6・3制の場合、小学校から中学校に進学した際に学校生活の変化に適応できず、不登校が増える「中1の壁」が課題になっているほか、最近は小学生の心身の発達が、6・3制を導入した1947年に比べて2年ほど早まっているともいわれ、自民党の教育再生実行本部などから「6・3」の区切りの弾力化を求める声が強まっていた。
 文科省は、小学校英語を小学5年生から正式教科にすることを検討しており、小中一貫教育によって系統性・連続性を重視した英語教育が可能になる。また、小学高学年段階から中学校のように教科担任制も導入しやすくなるなど効率的な教員配置ができるとされる。さらに、少子化に伴い学級数や児童生徒数の減少に直面する小中学校の統廃合も進むことが期待される。
 一方で、小中一貫校と従来の小学校や中学校との間で転校した場合、学年やカリキュラムがずれて対応しにくい問題があるほか、9年間子供同士の人間関係が固定される課題もある。
 政府の教育再生実行会議は昨年10月から学制改革の議論を進めており、7月中にも提言をまとめる予定。これを受け同省は具体的な制度設計に着手する。
 今国会で成立する見通しの教育委員会制度改革法案(施行日は15年4月)は、学校の統廃合については、首長と教委で構成する「総合教育会議」で協議するとしており、小中一貫校が制度化されれば、新設は同会議での協議対象となりそうだ。【三木陽介】

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