栗駒山麓にある宮城県栗原市の温泉宿泊施設ハイルザーム栗駒は、タイなど雪が降らない東南アジア圏をターゲットに、雪遊びを売りにしたインバウンド(訪日外国人旅行者)誘致に力を入れる。そり滑りが楽しめるゲレンデや雪像などを設営し、旅行代理店を通じて魅力をアピール。誘客の大幅増を目指す。
売り込むのは、駐車場70台分を使った冬恒例の特設会場「スノーランド」での体験型イベント。そりが楽しめるゲレンデは、昨年から全長を倍増し約50メートルを確保。今年は記念撮影スポットとなる城をかたどった雪像も新設した。
売り込み先の旅行代理店との協議で使う資料には、地元観光客から人気のスノーモービル体験を掲載。南極観測隊が使ったのと同型で国内に数台しかない「SM30型雪上車」の乗車体験も提案する。
特に雪上車体験は、スキーなどウインタースポーツと異なり、けがのリスクがなく、幼児から高齢者まで気軽に楽しめる点が売り。会場の駐車場が宿泊施設に近接し、移動時間を抑えられることもアピールポイントになるという。
ハイルザーム栗駒の近年の外国人観光客数は年間100~150人で推移している。これを当面、1000人まで増やすことが目標。2020年の東京五輪が近づくことから、さらなる誘客を目指す。
同施設を運営する市の第三セクターゆめぐりの鈴木広之総支配人は「私たちが常夏の太陽に引かれるように、東南アジアの観光客は真っ白な雪に心を奪われるはず。魅力を発信し、誘客数を着実に増やしていきたい」と話す。