政府の地震調査委員会が改定した日本海溝沿い地震の長期評価で、宮城県沖全域でマグニチュード(M)7.9程度の巨大地震が今後30年間に起きる確率は前回の「ほぼ0%」から「20%程度」に上昇した。想定される「宮城県沖地震」(M7.4前後)も「不明」から「50%程度」に定まり、危機感が高まった。東日本大震災から8年を前に、被災地では防災減災への意識と取り組みが改めて問われる。
地震調査委によると、2011年11月の前回評価時は震災の全体像が分からず、震源域周辺に与えた影響は不明だった。最新の知見を踏まえて見直した結果、陸側と海側のプレート境界付近にひずみの蓄積が判明した。
M7~8級の地震は震災前より起きやすくなったと考えられ、今回予測した各海域の発生確率はさらに高い可能性があるという。
委員長の平田直東大教授は「震災後、東北では大きな地震がしばらく来ないだろうと考えがちだが、M7クラスの地震は非常に高い確率で発生する。東北の太平洋沖は他の地域より確率が高い」と指摘。「8年前を思い出し、大きな被害が出ないように備えてほしい」と呼び掛けた。
震災の津波被災地は復旧途上だけに、官民一体での対策は待ったなしだ。宮城県危機対策課の大津充課長補佐は「地震はいつ起きるか分からないことは震災で経験している。今後も県民への啓発活動と防災対策を着実に進めていく」と気を引き締めた。