宮城県富谷町が10日、富谷市に昇格した。市町村合併を伴わない単独市制移行は2014年に村から移行した岩手県滝沢市以来で、宮城県内では45年ぶり。全国では福岡県那珂川町が18年10月の移行を目指している。
富谷市は10日午前11時から、市総合運動公園の武道館で市制移行記念式典を開催し、1000人を超す市民らと共に新市誕生を祝った。
式典でのあいさつで、若生裕俊市長は「富谷市誕生の喜びを市民と分かち合うとともに、ここまで支えてくれた多くの方々に感謝したい。宿場町から始まった富谷が今後も発展し続けられるよう市民とともに英知を結集して取り組む」と宣言した。
宮城県内で市町村合併を経ずに市制に移行するのは1971年の多賀城、岩沼、旧泉(現仙台市泉区)の3市以来45年ぶり。東北での単独市制移行は2014年1月発足の岩手県滝沢市以来。富谷市誕生で全国の市町村数は791市、744町、183村となる。
富谷町は1963年4月に誕生。当時は人口5091だったが、70年代以降、仙台市のベッドタウンとして人口が増加した。町内では東向陽台、鷹乃杜、明石台などの宅地開発が進み、77年に人口1万突破後、ほぼ1年に1000人のペースで人口が増えてきた。53年で約10倍になった。今後、増加ペースは鈍化していくと予測されているが、新市は2060年の人口6万を目標にしている。
町は人口5万が視野に入った2012年4月に移行準備を本格化。今年1月に公表された国勢調査速報値を受け、町議会が3月に市制移行議案を可決した。宮城県議会も7月に移行を議決。8月25日の官報告示で富谷市誕生が確定した。9月末現在の人口は5万2479。65歳以上の人口の割合は15年3月末現在で16・5%と宮城県内で最も低く、若者の多さが市の特徴の一つ。だが、国立社会保障・人口問題研究所は40年に市の65歳以上の割合が28・3%まで上昇すると推計しており、今後、少子高齢化とどう向き合っていくかが大きな課題となる。
町役場で7日に閉庁式があり、町としての歴史は53年で閉じた。
10日の移行記念式典では、市民歌を手掛けた仙台市を拠点に活動する4人組バンド「MONKEY MAJIK(モンキーマジック)」のドラムスの菊池拓哉(TAX)さんと、ボーカルとギターのメイナード・プラントさん(共に富谷市在住)に感謝状が贈られた。開庁式は11日午前8時からある。