<尚絅学院>里山に咲け花と人 再生事業始動

学校法人尚絅学院(宮城県名取市)が、所有する周辺の里山を再生させるプロジェクトをスタートさせた。里山は宅地開発などの影響で手入れされなくなり、自 然環境が年々悪化。市民と共に月1回のペースで下草を刈るなどし、カタクリやスミレなどが群生するかつての姿を取り戻す計画だ。
尚絅学院は1989年に仙台市内から名取市ゆりが丘に法人所在地を移転。大学や付属幼稚園を置く校地は約30万平方メートルで、このうち3分の2を整地されていない里山が占める。
移転前は地元住民が共同で里山を管理し、木炭材の切り出しや山菜の採取などをしていた。80年代以降の開発で宅地化が進み、住民のライフスタイルの変化もあって放置されたままとなっていた。
現在では、いばらや下草が茂って人が入りにくい環境となっており、クマやイノシシが出没してグラウンドを荒らすなどの被害が出ている。貴重な植物も姿を消しつつあるという。
プロジェクト初日の作業が9日にあり、学生や教職員ら約20人が参加。キャンパス西側に広がる里山に分け入り、約4時間かけて立木に絡まったツタを取り除いたり、倒木を片付けたりした。
尚絅学院は毎月第2土曜日に参加者を集め、作業を実施する。里山を5地区に分け、1地区に1年、計5年がかりで環境を整備していく。5年経過後は最初の地区に戻り、再び手を入れていく方針だ。
佐々木公明学院長は「私有地とはいえ、山は一種の公共財。人が入って楽しめるよう、学院が先導し、里山の再生を目指したい」と話す。
尚絅学院はプロジェクトに参加する市民を募っている。プロジェクトの詳細や申し込み方法などはホームページに掲載している。

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