<市長会>「郡氏は野党系」国との関係悪化懸念

「仙台外し」の動きが表面化した。宮城県市長会は28日、空席となっていた会長の職務代理者に佐藤昭塩釜市長(75)を選出し、仙台市長の会長就任が続いてきた慣例を破った。郡和子仙台市長が初当選した7月の市長選で、民進、共産両党など野党の支援を受けたのが背景。県内の他市長からは「野党系の会長では国に相手にされない」との懸念が漏れた。
28日の定例会議で口火を切ったのは副会長の伊藤康志大崎市長。「地方分権が進む中、県市長会の在り方をこの機会にしっかり議論したい」と、職務代理者の設置を言い出した。
「なぜ私が仙台市長に就任した今なのか。腹にすとんと落ちないところがないわけではない」。慣例破りの提案に、郡氏はすぐさま不快感を示した。
だが、他の市長から「会長の選び方や事務局の在り方をしっかりと検討すべきだ」との意見が相次ぎ、郡氏は外堀を埋められた格好に。全会一致で提案をのまざるを得なかった。
伊藤氏は会合後、報道各社の取材に「県市長会は仙台におんぶに抱っこの状態だった。新しい形を模索したい」と語り、郡氏の仙台市長就任との関連を否定した。ただ、県内の市長の間では政府与党との関係悪化を心配する声が根強い。
ある市長は「共産が支援した郡氏が国に要望書を持って行っても、相手にされない」と声を潜める。別の市長は「県内の首長は自民系が多く、野党の支援を受けた人が会長になることに不安がある」と明かした。
一方、東北市長会長には慣例通り郡氏を推薦することを決め、県市長会とのすみ分けを図った。副会長の大友喜助角田市長は推薦理由で「東北全体の発展に並々ならぬ意欲を感じる。東北のリーダーとしてふさわしい」と持ち上げた。
市長の一人は「与党系の仙台市長だったら違った展開だっただろう。郡氏に複雑な思いがあるのは見て取れた」と振り返った。

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