<平和記念式典>福島から広島へ 避難の小6が願い込め

 「平和とは、世界中すべての人が幸せになること」。東京電力福島第1原発事故後、福島から広島に避難した小学6年、三浦友菜(ゆうな)さん(11)が、戦争と放射能汚染のない世界を願って書いた作文が、「平和の歌声・意見発表会」(広島市教委主催)で優秀作に選ばれた。6日の広島・平和記念式典で読み上げられる「平和への誓い」に作品のエッセンスが盛り込まれ、全世界に発信される。
【あの日、原爆が落とされた】写真特集:広島、長崎に原爆(2011年8月掲載)
 原発事故から1週間後、福島県いわき市で暮らしていた友菜さんは母綾さん(39)の実家がある広島市安芸区に姉妹と避難し、父芳一郎さん(42)は仕事で福島に残った。広島で一緒に暮らすことになった祖母の新谷啓子さん(66)は胎内被爆者。母親は爆心地から約1.2キロで67年前に被爆し、頭上にかぶった大量のがれきに埋もれながら、おなかの中にいた自分を守ってくれたという。
 友菜さんが転校した広島市立船越小では授業に平和学習があった。被爆し皮膚がはがれて水を求めて街をさまよう人々、焼けただれた子どもの弁当箱……。原爆や放射能の恐ろしさを知った。
 「私は、戦争をすると、する分だけ、世界から幸せが消えると思います。でも、戦争をしていなくても放射能のことを心配してくらさなければならない今の日本も決して平和とは言えないと思います」。今年6月に書いた作文には、戦火に生きる子どもたちと福島の現状を重ね合わせた。
 「平和への誓い」は、友菜さんら優秀作などに選ばれた計20人が話し合って作り、別の小学生2人が代読する。祖母と一緒に式典に参列する友菜さんは「世界から戦争が消えて、放射能の心配も消えて、家族が安心して暮らせる当たり前の生活が一日でも早く来てほしい」と願う。【中尾卓英、中里顕】

タイトルとURLをコピーしました