<広域防災拠点>平時の有効活用どうする?

宮城県は、宮城野原公園総合運動場(仙台市宮城野区)一帯に整備する広域防災拠点について、平時はスポーツ広場として活用する構想を示している。県は10月にも基本設計の成案を定める方針だが、現状では新たに屋外のスポーツ施設を求める声は聞かれず、ニーズは不透明だ。

「各競技団体から新たな屋外競技場を求める声は聞こえていない」。県体育協会の担当者は県の構想に首をかしげる。
広域防災拠点は大災害の発生時、救助隊と支援物資の集結場やヘリポートとして活用される。運用の支障とならないよう、観客席や照明設備は設置しない。県体育協会は「大規模な公式戦や夜間練習の利用は見込めないだろう」とみる。
仙台市スポーツ振興課によると、アイススケート場やグラウンドゴルフ場、プールを備えた総合アリーナなど、市出身のフィギュアスケート男子ソチ冬季五輪金 メダリスト羽生結弦さんにちなんだり、高齢者が運動に親しんだりできる設備の充実を求める声が大きいという。担当者は「新たな屋外の運動場が必要な環境で はない」と分析する。
市内の16施設を管理する市スポーツ振興事業団も「利用者は週末に集中している。平日は空いている屋外施設が多い」と説明。平日の広域防災拠点は、貴重な市街地の中で広くて静かな空間となりそうだ。
広域防災拠点を担当する県都市計画課は「スポーツのニーズを掘り起こし、有効利用を図りたい」と語る。9月2日まで基本設計素案のパブリックコメント(意見公募)を行っている。
連絡先は県都市計画課022(211)3135。

[広 域防災拠点]県が7月下旬に公表した基本設計素案によると、JR仙台貨物ターミナル駅の敷地(約17ヘクタール)を買収し、サッカーなどができる芝生の多 目的広場を2面造成。土のグラウンド、1周1400メートルのランニングコースも整備する。2020年の一部利用開始を目指し、総費用は約300億円。国 の交付金を活用し、県の支出は140億円程度の見込み。

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